事実に基づく判断と解釈に基づく判断

事実に基づく判断と解釈に基づく判断

Clock Icon2023.09.07

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こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事において何かを判断するとき、判断が事実に基づいているのか解釈に基づいているのか、区別が必要です。
今回は事実に基づく判断と解釈に基づく判断で、結果にどのような差が発生しうるかを整理します。

事実と解釈

何か特定の出来事があった場合、そこには事実があります。
その事実に対し、人はそれぞれの考え方を元に意味付けを行い、解釈します。
最終的にその解釈を元に判断することになります。
例えば、300ml入るコップがあり、中身の水は半分だったとします。これは事実です。これに対して
  • Aさんは「残りの水はいっぱいある」
  • Bさんは「残りの水はそこそこある」
  • Cさんは「残りの水は残り少ない」
これらは各自の解釈です。

事実に基づく判断と解釈に基づく判断の差異

状況に対する事実に基づく判断と解釈に基づく判断を対比してみます。

例1

想定の状況

声量の大きなBさんが仕事でミスをしたAさんに「がんばれよ!」と大きな声をかけてきた。

事実に基づくAさんの判断の例

Bさんが仕事でミスをした私に「がんばれよ!」と声をかけてきた。
その声は大きかった。
この段階で、その声がけが激励の意図なのか、叱る意図なのか判断できない。
改めてBさんに意図を確認したところ、激励の意図だった。
ミスをした業務はCさんから依頼された業務であり、依頼内容が誤っていたのだが、ミスはミスなので、今後の対策を検討することにした。

解釈に基づくAさんの判断の例

Bさんが仕事でミスをしたAさんに「がんばれよ!」と声をかけてきた。
その声は大きかった。
きっと私の仕事ぶりに呆れ返って叱ってきたのだろう。
しかし、今回のミスは自分の責任ではなく指示をしてきたCさんの責任なので納得がいかない。
自分のせいではないので対策はしない。

差異

事実を確認した場合、激励の意図を確認することでポジティブな状態でミスへの対策を検討する方向に判断することができた。
一方、解釈に基づいた場合、本当は激励の意図だったのみ関わらず叱られたという解釈になっている。その結果、改善しない判断になってしまった。

例2

想定の状況

エンゲージメントサーベイで「成長実感」に関する項目があり、スコアが低かった。
この問題を解決したい。

事実に基づくCさんの判断の例

メンバーの成長実感のスコアが低いのでその裏にある事実をまず確認した。
結果として、メンバーはソフトスキル・技術ともに実際は成長していたが、実感を得られていないことが問題だった。
対策としてマネージャーやメンターから成長している部分について、都度成長を実感できるように承認・称賛を行うようにした。

解釈に基づくCさんの判断の例

メンバーの成長実感のスコアが低いので解決策を検討した。
  • 新しい技術を学べないからだろう → 新しい技術を取り込もう
  • 研修がないからだろう → 予算を確保して外部研修を実施しよう
  • 英語を学びたいのだろう → 英語学習支援をはじめよう
上記のような仮説を検討しては、対策を話し合うという議論を繰り返し、複数回のミーティングを経た結果として新しい技術を取り入れることにした。

差異

事実を確認した場合、議論時間が短縮され、実際に存在する問題に対する解決策を導くことができた。
一方、解釈に基づいた場合、様々な解釈を元にした解決策を検討し、答えを導いたものの、スコアが低い理由は別にあったので、長い時間を議論に費やし、新しい技術を取り込んだもののメンバーの成長実感は変化しなかった。

まとめ

事実に基づく判断と解釈に基づく判断の差異についてまとめました。
現実では、常にすべての事実を所与の時間内に収集可能とは限りません。一方で、さほど手間をかけずに収集できる事実は、できるだけ収集してから判断することが好ましいでしょう。

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